さくらだエッセイNo.9

2006.6.11 台風方式の面白いところ

 今日は日曜日ですけど、特別に台風先生の講座に行ってきました。いつもの水曜日のヤツは個人的にやってるんですけど、今日のは違います。日本語教授法についての講座です。毎週日曜日、午前10時から午後4時まで、みっちりの三回コースです。
 今日が初日なので、私にとっては知っていることが多かったけれど、こういう場で改めて台風先生の話を聞くのは、またそれで面白い。今までのことも整理できるし、参加して良かったですよ。

 A4サイズのノートに14ページほどになりましたから、その内容の濃さは想像が付くと思います。だから私はかなり疲れちゃいました。
 でも、御承知の通り、台風先生は元気満々です。自分でも言ってました。

台風先生「ボクってさ、こういうのをやると、どんどん元気になっちゃうんだよね。声が大きいけど、怒ってるわけじゃないから。ちょっと熱が入っただけだからね」

 今日は雨交じりの一日で、わりと涼しかったですけど、台風先生はかなり暑そうでした。自分でもそう言ってましたから確かです。

台風先生「ボクって、基本的に暑いんだよ。いつも暑いんだよね」

 新陳代謝がすごーく活発です。台風先生は、「ボクはもう歳を取ったから熱帯性低気圧になるよ」なんて自分で言ってましたけど、まだまだあり得ないっす。ホンモノの台風と同じように熱くて水分を含んだ空気をどんどん補給している感じです。

 さて台風先生の話はこれくらいにして、今日の講義から面白かったところをいくつか抜き出してみますね。

 言語を教えるとは、言語を使えるようにすることである。そのためには、言語をシステムとして効率よく教えなければならない。

 台風先生によると、よくこんな風に間違える人がいるらしいです。
・言語を通して日本文化を教えたい!
 まあねえ、それも確かにありかもしれないけれど、やっぱり使えなければ意味はない。使えるようになって初めて、興味が文化やその国の人、経済に移っていくんだと思う。
 台風先生は、まず道具としての言語をしっかりと身に付けさせるべきだと言ってるんです。
 しかもプロであれば、それを効率よく教えるべきだ。学習する人が、あまり苦労しないで、短時間で「日本語を使える」ようになるのが理想。そのためには、『日本語のシステム』をきちんと理解していなければならない。
 そういうことです。

 私の場合、この『日本語のシステム』っていうのが、なかなか分かりにくかったんだけど、実は今日の講義で、それがすっと腑に落ちたんですよ。

 ほら、前に日本語に限らず、言語って難しいって書いたことがあったじゃないですか。それを思い出してください。
 いえ、私に言われるまでもなく『言語は難しい』ことくらい、誰だって分かってます。日本人なんか、本当に英語で苦労しているから、みんな賛成してくれると思います。
 言葉って有機的なもの。一つの文章に様々な現象が含まれてしまっていて、母国語だとそれがどんなメカニズムになっているのかさっぱり分からない。習慣的に処理できているわけだから、改めて考えてもその理由が分からないのが普通なんです。
 それをですね、日本語を教える人間はちゃんと意識していなければならない。
 この文はどういう構造になっていて、そこで使われている文法はどの程度の難易度で、どんなことと関連があるのか、……そういうことを、はっきり分かっていないと、日本語を教える立場では失格ってことです。

 それで日本語に関するシステム(文法)が必要になる。

 やっぱり台風先生の台風方式の面白さはここです。日本語に関するシステムがとってもクリアで、何よりも外国人学習者(日本人の先生じゃなくて)にとって分かりやすいってこと。

 ちなみにですね、台風方式の良さはどこにあるのか、台風先生に直接、訊いてみましたよ。

台風先生「そりゃあね、いろいろあるけれど、一番、言えるのは、外国人学習者にとって楽なように、文法をミニマムにしているってことかな」
サク「文法をミニマム?」
台風先生「言語学ではね、ルール(文法)は少ない方がいいって決まってるんだよ。
 だって、たくさんルールがあったら、覚えるのが大変だよね? だからね、最小限の文法でなるべくたくさんのことを説明できるようにした方がいいに決まってる。
 ……ボクのやり方はね、そうなってるんだよ。複雑に見えるかもしれないけど、全てのことがちゃんとクリアにおさまっている。そこが良さだと思う。自信持っているよ」

 その後、具体的な話をしてもらいました。
 例えば、よく日本語の文法書で「い形容詞」「な形容詞」と名付けているようですが、台風方式では、ナンセンスとのこと。もっと分かりやすくて使いやすい整理の仕方がある。
 助詞「が」と「は」の違いも何かと話題になるけれど、台風方式によれば「『が』と『は』の違いは何ですか」と聞く時点で分かっていないことになるそうです。
 さらに、「〜〜なので」「〜〜なのに」がどういう文法上の理屈で成り立っているのか、クリアに説明できるということ、等々。
 まあ、出てくる出てくる……。

台風先生「例えばさ、助詞『が』と『は』の違いについて日本語の先生に質問したとするじゃない。そのときね、その先生がね『almost same(だいたい同じ)』とか『little different(ちょっと違う)』とか言ったらそれは分かってないっていう証拠なんだよね。言語っていうのは『different(違う)』か『same(同じ)』のどっちかしかないんだからさ」

 台風先生の言い方はきっぱりしています。まるでマジシャンみたいに、言語(日本語)の不思議を解き明かしてくれる気がします。

今日のまとめ
・言語は道具である。言語を教えるとは、道具を使えるようにすることである。
・プロの教師であるならば、学習者が最小の努力で目標に到達できるようにしなければならない。
・日本語においては、『日本語のシステム』を教える側が知っていることが必要である。
・台風先生のやり方であれば、『最小限のルール』で日本語のシステムを説明することができる。
・台風方式であれば、よく話題になっている文法上の問題をあっさりすっきりと解決することができる。