第1課 JUMPsystem学習の心構え
(著・櫻田一郎 監修・鈴木明JUMPsystem主催

 JUMPsystemはその名の通り、これまでにないユニークな日本語教授法システムである。
 そのため、これまでの日本語教育とは全く違った観点で、日本語を見なければならない。その観点とは、
『日本語文法を外国人学習者はどう捉えたら良いのだろうか』を中心として考える事である。
  JUMPsystemでは、日本語文法への新しい見方として、特に次の2点を重視している。

@ 日本語文法と英語文法は必ずしも一致しないという事を認識する。
A 日本語を、日本人のためのものではなく、外国人学習者本位に考える。


 以上のことをさらに詳しく述べる。

@ 日本語文法と英語文法は必ずしも一致しないという事を認識する。


 日本人は、欧米の言葉からの影響をかなり受けている。歴史的には、明治時代の文明開化政策から始まるが、そのため日本の言語学そのものも、欧米の言語を理解するための理屈がそのまま入ってきたと言えるだろう。

 例えば、動詞、名詞、形容詞といった品詞名も、英語を代表とするインド・ヨーロッパ語属を理解するための理論であり、日本語を理解するためにはふさわしくないことをここで確認しなければならない。
 これまで、私たち日本人は、日本語を英語と同様に、動詞、形容詞などの品詞に分けて、英語を理解するように文法を構築してきたが、これは日本人に無理矢理、カウボーイの衣装を着せるくらいふさわしくないと考えた方がよい。


 英語には英語を理解するための文法があるように、日本語には日本語を理解するための方法があるのだ。それをもう一度、確認したい。

 さて
JUMPsystemでは、英語文法の影響を避けるために、特に品詞について、その名前を変えることにした。そうすることで、学習者も教師も、英語とは違った言語を学習していると認識し、日本語独自のルールを習得しやすくするのである。(特に英語圏からの学習者にとって効果的である)

 初級の段階で、特に変えなければならない名称は次の通りである。

動詞  → ヴァーバルVerbal
形容詞 → アジェクタイヴァルAdjectival
名詞  → ノミナル Nominal
助詞  → パーティクル Particle
現在形、未来形 ≒ インパーフェクティヴImperfective(未完了形)
過去形     ≒ パーフェクティブPerfective(完了形)
敬体 = ディスタルスタイルDistal(Style)
常体 = ディレクトスタイルDirect(Style)


 これまで日本語文法を学んできた人にとっては耳慣れない言葉かもしれないが、こうして名前を変えることによって、今までとは違う視点で日本語を捉えていることを実感して欲しい。

A 日本語を、日本人のためのものではなく、外国人学習者本位に考える。

 日本語は言うまでもなく、日本人にとって母国語であり、我々日本人はネイティブスピーカーである。

 私たちは、日本語を使うとき、決して間違わない。

 ちょっとした言い回しや言葉の選択、言い方の工夫などを駆使して、自分の気持ちや意志を深く表現することが可能であるが、それはネイティブスピーカーの特権であると言えよう。

 普通、日本人は日本語の文法を知らない。

 なぜなら、生まれてからずっと日本語を話す環境の中で育ってきたために、日本語の文法が脳の奥底に染みこんでいて、意識しなくても正しく使いこなせるからだ。

 しかし、私たち日本人が、英語を代表とする外国語を話すときに苦労すると同じように、外国人にとっての日本語はかなり難しいものと考えた方がよい。

 私たちが英語を代表とする外国語を学習するときに文法が必要だったと同じように、外国人が日本語を勉強するときにこそ、日本語文法が必要となる。

  JUMPsystemはその全てを外国人学習者本位に考えるので、日本語文法も外国人学習者のためのものであると認識する。
 理論のための理論ではなく、外国人学習者にとって理解しやすいか、もしくは日本語学習をする上で役に立つか、が問題となる。
 以上のことから、
JUMPsystemでは日本語の文法を最小限のルールとしてまとめているが、そのときの判断基準は、いつでも外国人学習者にとって理解しやすいか、日本語学習をする上で役に立つか、の二つである。
 時として、それは日本語を母国語とする日本人(教師)にとっては、受け入れがたいこともあるが、
JUMPsystemではあくまでも外国人学習者を優先させることをここで確認しておきたい。

※ 以上の理由から、自分が日本人で、
日本語のネイティブスピーカーだからというそれだけの理由で、日本語を教えられると考えるのは大きな間違いである。(もちろんそれは日本語に限ったことではない。当然、アメリカ人だからといって、すぐに英語の先生になれるわけではなく、教師としてのきちんとした知識・スキル、トレーニングが必要なのである。



  

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